なにを紹介すべきか悩みましたが、歴史ある書籍ですので、水理公式集を紹介したいと思います。
流体力学ハンドブック(日本流体力学会 編集)、混相流ハンドブック(日本混相流学会 編集)、PIVハンドブック(可視化情報学会 編集)など、各学会編集の書籍としてハンドブックの類はその分野の基礎・応用を網羅した解説書としてよく知られています。海岸工学に関するハンドブックの類としては、おそらく土木学会から出版されている水理公式集ではないかと思います。
水理公式集は、水工学分野の内容が網羅され、もちろんページ数は多い(平成11年版は700ページ程度)。水理公式集では、各公式とその解説の順で記載されています。解説では、公式の要点が記述され、参考文献を辿るとより詳細な説明が得られます。ポイントとなる図面も豊富に掲載され、重要事項がまとまっているので、ある事柄に関連する周辺知識を含めて、理解していない事項、理解したつもりになっていた事項などが見つかり勉強になると思います。
私が、お世話になっている水理公式集は、平成11年と昭和60年に発行のもので、昭和46年改訂版以前の公式集を手にとってみたことはない。水理公式集は、これまで複数回にわたって改訂されており、改訂前後の目次の比較や公式集の最初の序文から、その歴史がうかがえます。以下は、平成11年版に記載されている履歴です。
昭和24年9月15日 第1版・第1刷発行
昭和32年8月15日 昭和32年改訂版発行
昭和38年8月10日 昭和38年増補改訂版発行
昭和46年11月15日 昭和46年改訂版・第1刷発行
昭和60年1月31日 昭和60年版・第1刷発行
平成11年11月25日 平成11年版・第1刷発行
戦後に初めて出版された第1版からおよそ70年が経過しており紹介文を書きつつこの書籍の重みを再認識しました。また、近日中に新しい水理公式集が発刊されると聞いています。比べると面白いかもしれません。