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おすすめ書籍第十六回

おすすめ書籍第十六回

  • 2019年3月30日
  • 本の紹介者:渡邊国広(国土交通省国土技術政策総合研究所)

書籍情報

  • 書名   Lessons from the Sand
  • 著者   Charles O. Pilkey and Orrin H. Pilkey
  • 出版社  The University of North Carolina Press
  • 出版年  2016年
  • 図書番号 ISBN 978-1-4696-2737-3

https://www.uncpress.org/book/9781469627373/lessons-from-the-sand/

紹介記事

 海岸について一般の人に説明する際などに使えそうな素材を探していたときに、水産大学校の須田有輔先生から勧められた書籍を紹介します。
 著者であるPilkey親子のうちのCharles O. Pilkeyは石油関連企業に勤務する地質学者でしたが、アメリカ東海岸でのセーリングに興じるうちに、海岸の美しさ・楽しさに目覚め、美術学校に入りなおして、流しの彫刻家となったという異色の経歴の持ち主です。ノースカロライナ州とサウスカロライナ州の海岸の楽しさを年齢問わず多くの人に知ってもらいたいとの思いから、豊富な写真やイラストと共にユーモアを交えた文体で波、海岸の地形から生物や漂着物まで海岸で見られるものを幅広く紹介しています。
 海岸の波や地形についての教科書的な解説だけでなく、例えばオレンジを使って海浜流の流速を計測する、フジツボの付着高から潮位差を把握するなど、現場で5感を使って学ぶことができる41種類の活動をとりあげ、それぞれについて準備するものと実施手順を紹介してくれています。面白いのは、これらの各活動の冒頭には必ず関連する名言が添えられている点で、メンバーはマルコポーロから、シェークスピア、ボブディラン、JFケネディまで様々な分野に及びます。これらの著名人たちの名言を読むだけでも楽しめます。
 一般人や子供向けを意識した本ですと生物などのイラストが簡素になりがちですが、見やすいけれども決して手を抜かない、生物系の研究者から見ても納得できるイラストとなっております。講義や現地エクスカーションの際のネタ本としても先生方はもちろんのこと、学生が海岸のことを広く学ぶための入門書、さらには海岸関係の英語の勉強にも活用できますので、研究室に1冊は置いておきたい書籍です。