論文番号 95

著者名 後藤仁志・酒井哲郎・豊田泰晴

論文題目 表層せん断力の急増減に対するシートフロー層の動的応答

討論者 服部昌太郎(中央大,理工)

質疑

 sheetflow下のsediment transport モードは,〜 density layer によるものと考えると,このlayerの流速変動に対するresponseの遅れがあると考えます.したがって,論文中の緩和関数にこの効果を加えたらと思いますが.澤本先生らの実験(198?)との比較を検討されたらと思いますが.

回答

 responseの遅れには,2つの機構が考えられます.まず第1には,流体と粒子との相互作用に関連した遅れ,第2には,粒子間の衝突が繰り返されて粒子群全体としての平均的速度構造が決定されるのに要する時間遅れです.本論文では,流速場は既知としてone-wayの解析を行っていますので,第2番目の遅れ機構のみを緩和過程として表現したこととなります.第1番目の機構の重要性に関してのご指摘かと思いますが,今後検討を続けたいと考えます.また,振動流装置を用いた既往の実験との比較検討も重要と考えております.別の機会に検討させて頂きます.

 

討論者 三村信男(茨城大・工・都市システム工学科)

質疑

 粒子間の相互作用のモデルの中にダッシュポットが入っているとすると,論文中に新たにモデル化したの緩和過程(式(1))はどのような力学過程に基づくものでしょうか.

回答

 先の質疑に対する回答でも述べたように,本研究の対象は,粒子間の衝突が繰り返されて粒子群全体としての平均的速度構造が決定されるのに要する時間遅れであり,この遅れの特性すなわち緩和過程を簡便に表現するモデルとして重畳積分形式の緩和過程モデルが導入されています.緩和過程がどのような力学過程に対応するのかと言うご質問ですが,著者らは,不規則な粒子間衝突の反復により粒子群全体のアンサンブル平均的な運動特性(ここでは移動速度分布)が決定されるまでの力学過程が緩和過程を支配していると考えています.粒子間相互作用モデル中のダッシュポットは,微視的には粒子間干渉における一種の緩和的効果を表しているとも言えますが,力学的な役割としては非弾性衝突に伴う粒子の運動エネルギーの減衰と対応しているものと考えられます.まとめると,緩和過程モデルは衝突の反復により速度場の構造が決定されると言う粒子流のマクロ特性と,一方,ダッシュポットは個々の粒子間における非弾性衝突と言うミクロな特性と対応したものであり,両者は異なるスケールの異なる機構を表しています.

 

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