論文番号 55

著者名 錫平・富樫宏由

論文題目 湾水振動に対する河川形状の影響について

討論者 佐藤慎司(土木研究所)

質疑

 1.35分周期の変動が河川の存在により最も減衰するとしているが,これは観測データと符合するか?

回答

 35分周期の変動が河川の存在により最も減衰するというのは,浦上川が存在しない,あるいは河口が防潮施設によって閉鎖された(仮想の)場合に比べれば,川の存在によって固有周期35分のアビキの振幅は(他の固有モードと比べて)最も低減されたことである。浦上川の影響を割出すことは事実上できませんので,この結果を観測データで確認することは,残念ながら不可能である。

質疑

 2.河口付近が腹になる時にエネルギー逸散が大きいとされるが,節となるときの方が,水粒子運動は大きいので,逸散が大きくなるのではないか?

回答

 河口付近が腹になる時と節になる時の川における波高の分布を見れば結果が分かりやすい。一番低い周波数の固有モードを取り上げてみると,腹の場合は曲線・のようになり,節の場合は曲線・のようになる(川が充分長くかつ底面摩擦が一定の場合)。また,川において波がほぼ単一方向(遡上)に進行するので,波のエネルギーが水面変動の平方に比例する。従って,腹の場合川に伝わる波のエネルギーの方が大きい。結局,河口からのエネルギー逸散は,河口付近でのエネルギー損失の量(これは河口付近で節になる場合が大きいと思われる)で決定するのではなく,河口から湾外に出るエネルギーの量によって決められるようである。

 

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