論文番号 49

著者名 太田隆夫,木村 晃

論文題目 局所ファジィ再構成法を用いた波浪予測の試み

討論者 柴木秀之((株)エコー,第一技術部)

質疑

 高波の立ち上がり時間の遅れが,予測を行う時間と一致する形で表れていますが,波浪予測精度の最大のポイントは,この立ち上がり時間を一致させることにあると考えています.この点を改善するためには,波浪の物理過程を組み込む以外に適当な方法はないと思いますが.この点については如何でしょうか?(純統計的な手法では困難なのではないでしょうか?)

回答

 高波の立ち上がりを一致させることが重要であるというのは,全くその通りだと思います.この点に対して,波浪の発達・伝播・減衰といった物理過程を考慮することは有効であるでしょうし,また純統計的手法での改善は難しいとも思います.ただ,本論文で用いた手法は,観測された時系列データのカオス性に基づくものであり,力学ベースの手法です.もっとも,「時系列データからそれ自身の状態変化を記述する力学的法則を推定する」という一種の逆問題になっていて,表面的には統計的手法と同様のデータ処理をしていると思われるかも知れません.とはいうものの,本論文で用いた予測法では立ち上がりの一致が見られないのは事実であり,現在,予測法の改良について検討しているところです.

 

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