論文番号 44

著者名 永井紀彦・橋本典明・清水勝義・平井宜典・伊藤一教・東江隆夫

論文題目 長期連続観測による沖合長周期波の変動特性

訂正

 著者の所属

 橋本典明 運輸省港湾技術研究所 海洋環境部水理研究室長

 

討論者 佐藤 愼司(土木研究所)

質疑

 1.「結論」の部分の「高波浪時の長周期成分は2次の拘束波である」の部分は、高波浪時には自由波のレベルより拘束波の振幅がかなり大きくなるので拘束波が見やすくなる、と解釈すべきではないでしょうか?

 2.図─5の解釈で、方向分散性を考慮した方が長周期波のエネルギーが低くなっているが、拘束波以外に自由波のエネルギーが加わるわけだから拘束波のみでは低いエネルギーとなって当然なのではないでしょうか?

回答

 1.一般論として長周期波成分は,自由波と拘束波で構成されていると考えており,高波浪時・低波浪時に関係なく言えることと解釈します.このことは,図─7からも判断できるとかんがえます.1.の質疑については同じ解釈をしておりますが, 今回検討を行った観測データのうちで,高波浪時の長周期波成分(図─5)が2次の拘束波と実測値が良く一致していることから,高波浪時の長周期波成分は2次の拘束波としての振る舞いが支配的であると判断したので結論に述べた表現にしています.

 2.今回検討を行った観測データのうちで,高波浪時の波浪は,論文中にも述べたように台風通過に伴ううねりであるため,屈折変形によって一方向性が顕著であると考えられます.また,方向スペクトル推定結果から方向集中度が高いことを確認しています. 方向スペクトル推定値から2次の拘束波を算出する場合,非常に多くの成分数が必要になるが,図-6に示したように多くの成分数で解析する場合にはクロススペクトルの推定誤差に起因して2次の拘束波を算出するのに十分な精度が得られなかったと判断される.つまり,方向スペクトルが高精度で推定出来るならば,図─5で示したデータは方向集中度が非常に高いので一方向伝播を仮定して算出した2次の拘束波に近い結果が得られると考える.よって,方向分散性を考慮した方が長周期波のエネルギーが低くなっていることが、拘束波以外に自由波のエネルギーが加わるわけだから拘束波のみでは低いエネルギーとなって当然というわけではないと,このデータについては考える.

 

討論者 関本 恒浩(五洋建設)

質疑

 パラメタ は波群パラメタと同時にある程度長い時間を解析しないと安定しないと思われるが、どの程度の長さが必要か御検討していたら教えていただきたい。

回答

 本文中の図─11に示したように,長周期成分は変調しているので,その変調の一周期分を含むように観測時間をとらなければならないと考えます.では,長周期成分は変調周期はいくつかという議論になるがどのような場合にどの程度の変調周期になるかは検討していないので明確な回答が出来ません.この点に関しては今後の課題と考えます.

 

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