論文番号 239

著者名 浅井 正・村上和男・西守男雄

論文題目 波浪条件や海底性状の変化が...

討論者 (勤務先・所属) 田中昌弘 (鹿島技研)

質疑

 相似則はどのように考えているのか?

回答

 今回の研究では,風洞付きの2次元造波水路を用いて,風だけでなく波浪についても強制的に与えてやり,実験を行った.これは,今回の実験では十分に発達した風波を対象としたが,そのためには水路長が足りないこと,および沖合で発達した風波が風域を出て入射する場合も対象としていることによるものである.とくに,後者の場合には,入射波の条件は沿岸の風速と独立であるとみなされる.したがって,風と入射波の両方に対して相似則を検討する必要があるだろう.

 入射波については,従来どおりFroude則をもとづいて相似則の検討を行った.なお,今回の実験では砕波の影響を検討するために模型床の海底勾配を大きめに設定したが,歪み模型の使用は行っていない.ただし,接線応力など,風が波に与える効果についてはFroude則は相似則を満たさないため,風については別途相似則の検討を行う必要がある.また,水面での気泡の生成や水滴の飛散といった飛沫発生の諸過程は,実験においても現地と同じスケールで起こるものと考えられる.

 そこで,今回の実験を行うにあたり,予備実験としてさまざまな風速と入射波の組み合わせに対して現象を観察し,現地観測結果と比較した.この検討結果にもとづいて,風速の条件は現地の値に対して1/1で与えている.今回の研究では現象の理解を主な目的としているので,この程度の検討で十分であると考えている.今後,定量的な検討を行う際には,抵抗係数などを変更できる数値計算結果を利用して,さらに詳細に相似則の検討を行っていくつもりである.

 

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