論文番号 174

著者名 水谷法美・藤岡丈夫・渡辺増美・岩田好一朗

論文題目 小口径円柱に作用する多方向不規則波の波力

討論者 鳥取大学 松原雄平

質疑

 波別解析波におけるCDの算定値にマイナスの値が生じているが,この原因をどのように考えているか?

回答

 負の抗力係数が生じるのはKC数の小さな範囲が多く,そこでは基本的に慣性力が支配的となっています.一方,本研究では,波力係数を最小自乗法により決定していますが,最小自乗法で波力係数を決定した場合,抗力・慣性力のいずれかが卓越すると他方の係数に誤差が生じやすいことが従来より指摘されています.KC数の小さな範囲で抗力係数が負のみならず正側にも大きな値が認められるのはそれが一原因であると考えます.

 また,もう一つの原因として,以下のものが考えられます.すなわち,KC数の小さな範囲では,抗力としては剥離渦によるもの以外に粘性による円柱表面での摩擦も重要であると考えられます.この摩擦力は流速の位相とは一致せず,流速との間に位相差が生じます.規則波を対象とした石田らの研究では,摩擦力の位相は先行し,抗力はKC数の減少と共に増大することが理論的に報告されている.本研究では,不規則波であり,波の進行方向も時々刻々変化するので,流速と摩擦力との位相差も一定とならず,抗力係数が必ずしも正の値ではなく,負の値になったと考えられます.

しかし,いずれにしてもこの力の絶対値は慣性力と比較して非常に小さく,波力に対するこの抗力の寄与は小さく,この抗力を無視しても全体の波力を十分評価できることを確認しています.

 

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