論文番号 160

著者名 半沢 稔,高橋重雄,下迫健一郎

論文題目 モンテカルロ法を用いた消波ブロックの期待被災度の計算

討論者 榊山 勉(電力中央研究所)

質疑

 消波ブロックの被害の程度や被害の履歴が考慮できる評価式である式(3)には周期や法面勾配の影響が含まれていない。これに対して同様の目的で既に提案されている鹿島らの式(1993,1994)は周期や法面勾配の効果を取り入れて,消波ブロック被覆工の変形量が波高だけではなく,周期や法面の関数であることを示している。著者らの提案式である式(3)の導出にあたって鹿島らの提案式と異なるパラメタで(パラメタを省略して)整理した理由を説明して下さい。また,今後の著者らの提案式の展開について考えがあればお聞かせ下さい。

 鹿島ら(1993):不規則波に対する消波ブロック被覆工の変形量評価式について, 海岸工学論文集第40巻,pp.795−799

 鹿島ら(1994):消波工の変形量の時間変化の予測と変形に及ぼすコアの影響, 海岸工学論文集第41巻,pp.771−775

回答

 鹿島らの式では周期,法面勾配の効果がサーフシミラリティーパラメータξを通して考慮されていることは承知しております。

 私どもが提案式を構築するにあたって検討した内容は前回の論文1)を参照して頂きたいのですが,ハドソン式,ファン・デル・メーア式,鹿島らの式等を検討させて頂いた結果次のような方向で考えました。

 文献1)の図−4に示しますように,鹿島らの式とファン・デル・メーア式とでは,波形勾配に対する安定性の感度が逆傾向になっております。また,通常設計波浪の条件として想定される波形勾配の範囲(0.02〜0.04程度)ではどの算定式でも比較的波形勾配による安定性の変化は小さいものとみなされます。実際,私どもが対象とした実験データを整理した結果からも波形勾配の影響は小さいものでした。従って,提案式の中では波形勾配(周期)の影響は取り込みませんでした。

 また,斜面勾配については文献1)でも触れていますとおり,提案式はあくまでも斜面勾配1:4/3に対して得たものであります。将来的には斜面勾配の影響を取り込む方向で考えております。

参考文献

 1)半沢 稔,佐藤弘和,高山知司,高橋重雄,谷本勝利(1995):消波ブロックの安定性評価式に関する研究,海岸工学論文集第42巻,pp.886−890

 

目次に戻る